時間という収容所の入口

今日は久しぶりに、高田馬場駅で降りた。
実は僕はこの駅で降りて大学に通っていた時期がある。
駅を降りてあたりを見渡すと、一見したところあまりの変わりようにびっくりするのだが、
落ち着いてよく観察してみると、昔と何も変わっていないことに気がつく。
道路の幅は同じ、歩道の幅も同じ、そしてびっしり建て込んでいる建物も同じではないか。
昔は2階建ての小さな建物、それが今は建物の面積は変わらないまま、4階、5階、といわゆるビルに変貌しているだけなのだ。
それにしても、あの美しくない風景はスゴイ。
これこそジャパニーズスタイルだと思う。。
僕の暗い過去が頭をよぎる。
僕にとっては、大学生だった4年間というものは暗い過去なのではなかっただろうか。
以前から、そう思っていた答えを、今日は最終確認をした。

駅を降りて、妻と待ち合わせのラーメン屋まで歩いた。
学生街といわれた街を歩いて、懐かしさなんて微塵も感じないし、愛着もないということに気づいた。
社会全体の問題ではあるけれど、学生は夢がなくなったと思う。

学生の頃は、もっとも大切な時期でもあるから、できるだけ物事の本質を見抜ける力を養っておかなければならない。
しかし、まったく正反対が現実なのだ。
内容の徹底した貧しさは、荒廃が重なりパワーアップする。
そしてやがて夢もなくなっていく。
僕はこの街を愛しているか、大学を愛せるかと自問自答する。
答えは「いいえ」
愛をもってその街に接することができるかは、その社会全体が支えている基本理念の差だということに気づいた。

そんなことを感じ思いながら、かつて歩いた歩道を歩く。
そして待ち合わせのラーメン屋さんに着いた。